
前進座
人情噺
文七元結
脚色:平田兼三
演出進行:小野文隆
公演スケジュール
- 岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
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例会日 昼 夜 3/25 火 – 19:00 3/26 水 13:00 – 3/27 木 13:00 – 3/28 金 12:30 – 3/29 土 14:00 –
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西大寺市民劇場例会
西大寺公民館大ホール -
例会日 昼 夜 3/8 土 – 18:45 3/9 日 13:00 –
魅力に迫る会にお迎えします♪
キャスト・スタッフ
Cast
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- 藤川矢之輔大坂屋
- 左官長兵衛
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- 早瀬栄之丞白鷺屋
- 女房お兼
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- 有田佳代
- 娘お久
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- 石嶋隆生
- 和泉屋手代文七
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- 山崎辰三郎山崎屋
- 佐野槌 女主人お駒
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- 柳生啓介
- 佐野槌 若い者藤助・そば屋与助
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- 上滝啓太郎
- 佐野槌 抱新造花香・駕籠かき一
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- 玉浦有之祐旭屋
- 佐野槌 抱新造侍人・酒屋手代
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- 清水麻美
- 佐野槌 娘分お光
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- 松涛喜八郎相生屋
- 佐野槌 遣手お熊・家主甚八
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- 中嶋宏太郎福泉屋
- 鳶頭伊兵衛・町人一
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- 嵐市太郎豊島屋
- 駕籠かき二・町人二
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- 渡会元之
- 和泉屋清兵衛
Staff
演出進行 | 小野文隆 |
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装置 | 熊野隆二 |
装置補 | 高木康夫 |
照明 | 桜井真澄 |
音楽 | 杵屋佐之忠 |
音楽補 | 杵屋佐之義 |
舞台監督 | 小林 楓 |
照明操作 | 割石敦子 |
音響操作 | 川名あき |
ものがたり
左官屋の長兵衛は、腕はいいが博打と酒にかまけて稼業はほったらかし。家計は火の車で、女房・お兼との間には喧嘩が絶えません。
娘・お久はそんな不和に心を痛めて、自ら吉原の遊女屋佐野槌に身を売ってお金をこしらえようとします。
娘の孝行に打たれた長兵衛は、すっかり目が覚め、懸命に働いて一年のうちに迎えにくると誓い、佐野槌から五十両を借り受けます。その帰り道、身投げしようとしている若い男、文七を助けるのですが…。
解説
元結(もっとい・もとゆい)とは?
髷(まげ)の根を結い束ねる紐のこと。長くしつらえた紙縒(こより)に接着剤を数回にわたって塗布し、乾燥させたうえで米の糊を塗って仕上げたもの。
男女とも江戸時代には生活必需品でした。
五十両は現代ではどのくらい?
当時の大相撲関取が、月十両もらっていたことから「十両」という階級ができたという説があります。すると、現在の十両力士の月給が110万円なので、五十両は550万円に相当するでしょう。
盗んだ総額が十両で死罪になった時代でもあり、庶民にとっては相当な大金でした。

歌舞伎は、私たちの祖先が独自の様式を割り出し、庶民に愛されてきた世界に誇る日本の宝です。
お芝居をご覧になる前に、歌舞伎のあれこれ、立ち廻りに女方、音楽や舞台機構のことなど、歌舞伎の面白さを知ると、より豊かに味わえます。
出演者が本編の前に歌舞伎の世界にご案内します。


えんげきの友より
『人情噺 文七元結』は落語のネタである。
六代目三遊亭圓生や五代目林家正蔵はじめ多くの名人たちが演じ、今日でも真打の演目として人気が高い。若手真打なら、一度は手がけてみたいと思うネタのひとつだ。歌舞伎や大衆演劇でも上演されている。三遊亭圓朝の作と言われているが、もともとの原話はあったようだ。圓朝が今日の形にまとめた。
前進座では、1947年の初演以来、上演回数千回に迫る人気演目だ。初演の長兵衛役には瀬川菊之丞(6代目)、そして中村翫右衛門、中村梅之助を経て、2003年からは21年に渡り、藤川矢之輔さんが演じている。
岡山市民劇場の例会としては、1991年に中村梅之の長兵衛で上演されているので、再演となる。
長兵衛のような人は現代もいるかもしれないが、そんな父に献身的になるお久や、金を落としたからといって自殺しようとする文七の行動は現代の価値観とは異なる。とはいえ、これは閉鎖された江戸時代のお話。いろんな状況を踏まえた上で、抑圧された日々の中、助け合ったり、手を取り合ったりして生きていく人情噺の世界をお楽しみください。
観劇の感想
各地の演劇鑑賞会の感想より

- 江戸庶民の暮らしに流れる人情の豊かさ、清々しい心のやり取りから、時代を超えて受け継がなければならない真の豊かさを見ることができました。泣き笑いの後に残る清涼感にどっぷり浸かることができました。
- 舞台装置、音響、幕の展開など、一流の舞台と前進座の役者さんのレベルの高さに感服いたしました。悪い人がひとりも存在しない思いやりの人情噺。久々に古典芸能の素晴らしさに心震える一夜でした。
- 長兵衛は文七の身を助け、お久は両親のために自分を犠牲にしようと考えます。
これらは巡り巡って自分のためとなり、八方丸く収まりました。今の世の中ぎすぎすした毎日ですが、このようなお芝居を観て心が癒されほっこりしました。 - 耳で楽しむ落語を目でも楽しませてくれて、役者さんの言い回しや動きから感情が細やかに伝わってきました。人の情に感謝して心のこもった恩返しに温かさを感じ、日本人が好んできたことや大切にしてきたことを思い起こさせてくれました。
- 登場人物のそれぞれの感情や心の動き、江戸っ子気質が笑いとともに表現されて、人命の大切さや情けもあり短い中にも多くの気持ちが織り込まれていました。
- 歌舞伎のあれこれを併演してもらい、長い歴史の中でつないできた前進座の方々の思いを感じました。細かい仕草や心使い、芸の深さと日本文化の素晴らしさ、外国で演じる事の誇りすら感じました。
- 笑いあり涙あり、最後には考えられないドンデン返しなど、歌舞伎独特の人情噺や楽しさを十二分に堪能することができました。
より自由に・より豊かな劇団を目指し93年の長きにわたり演劇活動を積み重ねてこられた「前進座」に乾杯です!!
前進座

1931年5月22日、若き歌舞伎俳優・中村翫右衛門、河原崎長十郎、河原崎国太郎らを中心に創立。激動の時代の中で志高く旗揚げし、圧倒的なエネルギーで多彩なレパートリーを創造、全国各地に届けた。本年(2025年)は創立94周年。厳しい状況ではあるが、劇団員一丸となり100周年を目指して意欲的に活動している。
これまで例会にお迎えした作品たち
1963年 | 鳴神/左の腕 |
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1964年 | 黒田騒動/芝浜の革財布 |
1965年 | 阿部一族/とうふ売り |
1966年 | 天平の甍 |
1967年 | 五重塔 |
1968年 | 佐倉義民伝/棒しばり |
1969年 | 俊寛/芝浜の革財布/操り三番叟 |
1970年 | 阿部一族 |
1971年 | 親鸞 |
女殺油地獄 | |
1972年 | 左の腕/水沢の一夜 |
1973年 | 出雲の阿国 |
1975年 | 堀川波の鼓 |
1976年 | さぶ |
1977年 | 柳橋物語 |
1978年 | 花神 |
心中天の綱島 | |
1979年 | さんしょう太夫 |
1980年 | 怒る富士 |
1982年 | 釈迦内棺歌 (しゃかないひつぎうた) |
1983年 | 女殺油地獄 |
1986年 | 一本刀土俵入 |
1988年 | 解脱衣楓累 (げだつのきぬもみじがさね) |
1991年 | 文七元結/おもん藤太 |
1994年 | 鳴神/素襖落 |
1997年 | さぶ |
2000年 | 赤ひげ |
2003年 | 三人吉三巴白浪 |
2005年 | 出雲の阿国 |
2008年 | 銃口 |
2009年 | 五重塔 |
2012年 | さんしょう太夫 |
2014年 | 夢千夜日記 |
2016年 | 唐茄子屋 |
2017年 | 柳橋物語 |
2020年 東海道四谷怪談
2022年 くず〜い屑屋でござい
2025年 人情噺 文七元結