劇団俳優座
雉はじめて鳴く
皆様、どうぞお楽しみに!
スタッフ・キャスト
Cast
-
- 若井なおみ
- 教員/サッカー部 副顧問浦川麻由
-
- 深堀啓太郎
- 生徒/サッカー部員舞原 健
-
- 清水直子
- 健の母親舞原杏子
-
- 松本征樹
- 生徒/サッカー部員片山泰二
-
- 滝 佑里
- 生徒/サッカー部マネージャー奥野早織
-
- 山下裕子
- 校長吉水牧子
-
- 河内 浩
- 教頭石嶺総一
-
- 宮川 崇
- 教員/サッカー部 顧問戸倉 治
-
- 安藤みどり
- スクールカウンセラー藤堂智絵
-
- 八柳 豪
- 男
-
- 天野眞由美
- 女
-
Author
Director
Staff
美術 | 杉山 至 |
---|---|
照明 | 桜井真澄 |
音響 | 木内 拓 |
衣装 | 樋口 藍 |
舞台監督 | 宮下 卓 |
写真 | 森田貢造 |
舞台美術 | flutter kick |
制作 | 霜垣真由美 |
あらすじ
教育の現場に鋭く切り込んだ
グランプリ受賞の傑作!
とある県立高校。
国語教諭の浦川麻由は担任するクラスの舞原健の相談に乗っていた。サッカー部顧問の戸倉と問題共有しながら、モンスターペアレントの健の母親からのケアに気を配る日々。
そんな折、スクールカウンセラー藤堂智絵が着任し、浦川と意気投合。一方、サッカー部マネージャー奥野早織が「浦川先生と舞原くんが怪しい」と藤堂に衝撃の告白をする。色めき立つ職員室の校長や教頭たち…。
教育現場を舞台に、教師と生徒の関係、
さらには生徒と親と学校の距離感などを丁寧に紡ぎ…そして、最終的に描かれる ”救い” 。
えんげきの友より
1977年生まれ。大阪市出身。劇作家。
大阪を中心に活動する演劇ユニット [ iaku ](いあく)の代表。
鋭い観察眼と綿密な取材を、人間や題材を多面的に捉える作劇を心がけた上質な会話劇を多数発表。いま注目の若手演劇人のひとり。
2018年、劇団俳優座に「首のないカマキリ」を書き下ろす。本作「雉はじめて鳴く」は、2本目の書き下ろし作品。昨年の「猫、獅子になる」では、俳優座演出家の眞鍋卓嗣さんと3度目のタッグを組んだ。
第一五回日本劇作家協会新人戯曲賞『エダニク』(2009年)
第一回せんだい短編戯曲賞大賞『人の気も知らないで』(2013年)
第七二回文化庁芸術祭賞新人賞『ハツブリガ飛ぶのを』(2017年)
大阪市咲くやこの花賞・文芸その他部門(2018年) など、数々の賞に輝いている。
この物語の背景には、やり切れない思いや矛盾を抱えた教員の方々の思いが渦巻いている。被害者が誰で、加害者はどこにいるのか。常に混沌としているのが学校だ。この場を借りて改めて言っておこう。
「教員の皆様、日々ご苦労様です」。
1975年生まれ。東京都出身。大学在学中から音楽活動、演劇活動を平行して始める。1998年にはメジャーデビュー、2001年まで活動。
劇団俳優座文藝演出部所属。
多数の外部公演の演出を手掛け、演出家として活動中の劇団のホープ。2017年の例会「春、忍び難きを」では演出助手を務めた。
2022年より俳優座演劇研究所の所長に就任。
横山拓也さんとは、2018年以来、3本立て続けに劇作でタッグを組む。
『名取事務所「少年Bが住む家」』の演出において第55回 紀伊國屋演劇賞個人賞、第28回 読売演劇大賞優秀演出家賞という2大演劇賞をW受賞。
『劇団俳優座「インク」』
『PARCO PRODUCE音楽劇「海王星」』の演出において第29回読売演劇大賞優秀演出家賞 受賞。
『劇団俳優座「猫、獅子になる」』の演出において第30回読売演劇大賞優秀演出家賞 受賞の3年連続での受賞に輝く。
今作品の参考に、と教えて頂いた実際に起きたとある男子高校生の自殺事件がある。学校でのいじめが自殺の原因だったとして学校側を訴えていた母親だったが、実はいじめの事実はなく、母親側に原因があったという複雑でやりきれない事件だった。母親は過剰なモンスターペアレントで他者へのクレームが激しい性格だった。絶対的な繋がりである母が学校の先生やクラスメイトを脅す様を見て、多感な高校生である彼がどのような気持ちであったか想像するだけで胸が痛い。彼の本心を実証するものはないが、いじめを訴える母とそれに対応する学校側の意見が対立している間に彼は自殺してしまった。この後裁判となり、その最終的な判決は先に書いた通りだ。しかし当時の世論は母親側に完全に傾いていた。いじめはなかったとする教師たちは保身のために噓をつく浅ましい存在として叩かれたのだ。
このような現象の原因となる、親だから、といった一元的なものの見方はどうにかならないものかと、これまでも常々考えてきた。周囲を見渡すと、以前よりはもちろん進歩も見られる。しかし社会的システムにまで及んでいるかと言えばまだまだそうではなく、翻って私たちはまだ「凝視すること」が足りないし、そこから始めるしかない。
横山さんは今回、生徒に寄り添おうとする教師の姿を描いた。寄り添おうとすると不自由になっていく状況を描いた。一元的には対応しきれない状況。そこに緻密に浮かび上がる人々の心と振る舞い。横山さんの手腕により見事に切開されたそれらに対し目を凝らして見詰めること。
まずはその行為が私たちの希望ある未来に繋がっているのだと、改めて強く思う。
観劇の感想
人は身の置き場所、心の居場所を求めて
さ迷うものだと気づかされました。
- 最初のセリフ2・3言で「新しさ」を感じました。若い作家と若い演出家と、新しい(古いけど)劇団を観たような思いです。
- 場面転換のテンポがよくて、作、演出、回り舞台、役者がよかった。この作品は、お母さんの演技にリアリティがないと成立しない。お母さん役の清水直子さんの演技がすごいと改めて思った。
- 回り舞台の動きも絶妙で、舞台装置や音楽・効果音の使い方が今まで出会ったどの作品とも異なり近未来空間にいるような感覚がしました。
- 人は身の置き場所、心の居場所を求めてさ迷うものだと気づかされました。また一人ひとりの役者さんの自然な演技とアンサンブルの良さに、さすがは歴史ある老舗劇団俳優座だと思いました。
- 教頭先生が笑わせてくれた。「ああいう教頭は多いね」という人がいた。校長がしっかりしているからよかった。
- 今日的課題が繊細に描かれた脚本で、演出も舞台装置も演技もすばらしい。健の切ない鳴き声に、母親の苦しい鳴き声が重なっていた。教師はどこまでできるのか。求めれば誰もが避難場所を見つけられる社会ならどんなに救われるだろう。心が揺さぶられる芝居に出会えた。
- ヤングケアラーとか身近な話題に共通するテーマの劇。演出の奥深さに引き込まれました。舞台装置はシンプルなようで大変想像力をかきたてる楽しいものでした。
- じんわりと心にしみてくるとても良いお芝居でした。どこかほんの少しでも心が寄り添えるところがあれば、人は生きてゆけますね。
次例会のたね
●生徒にとっての避難場所である学校や教師。
生徒にどう寄り添えるか。モンスターペアレントとの対峙。どうしたら、人を救えるか。そういった状況に向き合って必死に奔走する人達の【一喜一憂や切実な葛藤】を見届けて頂きたいです。生徒や教師それぞれの成長物語でもあります。
●舞台美術
舞台裏側の見えないところで2人がかりで手動で動かす【回り舞台】。
人物達の心の内をも表す重要な動く舞台美術。
●深刻な問題を描きながらも、テンポの良い軽やかな会話や、思わず笑ってしまうような滑稽なやり取り。
シリアスさと軽妙さの絶妙なバランス。緻密な演出やスピーディーな場面転換。最終的に描かれる【救い】。役者達の適材適所のアンサンブル。
公演スケジュール
- 岡山市民文化ホール
-
例会日 昼 夜 7/27 木 – 7時 7/28 金 1時 – 7/29 土 2時 – 7/30 日 2時 – 7/31 月 12時30分 –
-
西大寺市民劇場例会
西大寺公民館大ホール -
例会日 昼 夜 7/24 月 – 6時45分 7/25 火 1時 –
関連リンク
※ 管理人の責任でリンクしています、不都合がありましたらご連絡ください。