劇団文化座
母
脚 本:杉浦久幸
演 出:鵜山 仁
あらすじ
「ほれっ! 多喜二! もう一度立って見せねか! みんなのために、もう一度立って見せねか!」1933年2月20日。小説家小林多喜二が特高警察によって虐殺された。拷問跡の残る遺体に、多喜二の母セキは寄り添い、ずっと頬を撫で擦っていた。貧しさの中、学校へも通えず、13歳で結婚。秋田から小樽へ移住し、懸命に働き六人の子を育てたセキ。そんな母の姿を見ながら、小林多喜二は小説を書いた。貧しく虐げられた人たちのことを思い、書き続けた。
晩年、セキは息子多喜二を語る機会を得る。母さんを人力車に乗せて、この(小樽の)通りを走らせてやりたいと願った、多喜二青年の夢と愛の軌跡――。無学の母は、問われるままに語り始める・・・。
出演:佐々木愛、藤原章寛、姫地実加、萩原佳央里、市川千紘、深沢 樹、神﨑七重、小佐井修平
■ 解説
小林多喜二の母セキを主人公にした三浦綾子の長編小説を、杉浦久幸の脚本と鵜山仁の演出で舞台化、佐々木愛が演じるのは、もちろんセキである。女優生活60年を迎えたが、体力的な衰えをまったく感じさず、台詞に張りがあって所作も軽快。
劇は戦後セキが記者のインタビューに答える場面から始まり、回想を通し貧しい家庭に生まれたセキが、様々な苦労を重ねながら六人の子(長男は夭折)を育てていく姿が多喜二の人生と重ね合って綴られる。この劇は苦難を超えて生き抜いた母のたくましさを描いたドラマである。セキは無学だがおおらかで明るい性質で子どもたちを信じ自分の考えに従って生きていく。そんな母に育てられた多喜二は「小さき者のために生きる」という考えを貫きその果てに虐殺される。多喜二を動かしたのはイデオロギーではなくヒューマニズムであった。佐々木愛がセキの清らかな人物像を気負いなく自然体で演じ観る者に深い感動を呼ぶ。
■ 劇団プロフィール
1942年2月26日、演出家佐佐木隆、女優鈴木光枝らによって結成。戦時下の厳しい条件のもとにあっても演劇の良心の灯をともし続けた。1987年より佐々木愛が劇団代表。2008年「てけれっつのぱ」で平成20年度文化庁芸術祭大賞。2018年「夢たち」「反応工程」「太陽の棘」の舞台成果に対して第53回紀伊國屋演劇賞団体賞。2023年「炎の人」におけるゴッホ、「旅立つ家族」におけるイ・ジュンソプの演技に対して藤原章寛が第58回紀伊國屋演劇賞個人賞。
公演スケジュール
- 岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
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例会日 昼 夜 5/23 金 – 19:00 5/24 土 14:00 – 5/25 日 14:00 – 5/26 月 13:00 – 5/27 火 12:30 –
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西大寺市民劇場例会
西大寺公民館大ホール -
例会日 昼 夜 5/29 木 – 18:45 5/30 金 13:00 –
関連リンク
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