2025年 5月例会

岡山市民劇場 2025年 5月例会:母 - 劇団文化座

劇団文化座

佐々木愛女優生活60年記念作品
原 作:三浦綾子
脚 本:杉浦久幸
演 出:鵜山 仁

公演スケジュール

岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
例会日
5/23 19:00
5/24 14:00
5/25 14:00
5/26 13:00
5/27 12:30
西大寺市民劇場例会
西大寺公民館大ホール
例会日
5/29 18:45
5/30 13:00
上演時間:1時間40分(予定)


魅力に迫る会にお迎えします♪

2025年 5月例会 「母」魅力に迫る会

「母」の魅力に迫る会に 文化座:代表・俳優 佐々木愛さん…続きを読む

キャスト・スタッフ

  • 佐々木 愛
    セキ
  • 藤原章寛
    多喜二
  • 小佐井修平
    三吾
  • 姫地実加
    チマ
  • 萩原佳央里
    ツギ
  • 市川千紘
  • 高橋未央
    タミ
  • 神﨑七重
    三波

原作
三浦綾子
脚本
杉浦久幸
演出
鵜山 仁

Staff

美術 乘峯雅寛
照明 古宮俊昭
音楽 高崎真介
音響 原田耕児
衣装 岸井克己


あらすじ

小説家・小林多喜二の母セキを
女優生活60年の佐々木愛が熱演!

多喜二の母 セキが語る そこには明るさと優しさに満ちた 家族の風景があった

「ほれっ! 多喜二! もう一度立って見せねか! みんなのために、もう一度立って見せねか!」

1933年2月20日。小説家 小林多喜二が特高警察によって虐殺された。
拷問跡の残る遺体に、多喜二の母セキは寄り添い、ずっと頬を撫で擦っていた。

貧しさの中、学校へも通えず、13歳で結婚。秋田から小樽へ移住し、懸命に働き六人の子を育てたセキ。そんな母の姿を見ながら、小林多喜二は小説を書いた。貧しく虐げられた人たちのことを思い、書き続けた。

晩年、セキは息子多喜二を語る機会を得る。
母さんを人力車に乗せて、この(小樽の)通りを走らせてやりたいと願った、多喜二青年の夢と愛の軌跡――。

無学の母は、問われるままに語り始める・・・。

岡山市民劇場 2025年 5月例会:母 - 劇団文化座 フライヤー表岡山市民劇場 2025年 5月例会:母 - 劇団文化座 フライヤー裏

えんげきの友より

母セキが多喜二への切々たる思いをこめてうたった詩

セキ:詩
あーまたこの二月の月が来た
ほんとうにこの二月という月はいやな月
こえをいっぱいになきたい
どこへいてもなかれない
あーでもラジオですこしたすかる
あーなみだがでる
めがねがくもる

岡山市民劇場 2025年 5月例会:母 - 劇団文化座 舞台写真

劇評

文化座の『母』での佐々木愛の好演を挙げよう。
小林多喜二の母親セキを主人公にした三浦綾子の小説を、杉浦久幸の脚色と鵜山仁の演出で舞台化した作品である。佐々木が演じるのは、もちろんセキの役だ。
佐々木は今年で俳優生活六〇年を迎えるそうだが、体力的な衰えをまったく感じさせない。台詞に張りがあって所作も軽快で、物語の核をしっかりと担えている。

舞台経験の浅い若手の演技を傍で温かく見守る眼差しからは、佐々木がたんに作中の小林多喜二にとってだけではなく、文化座の劇団員全員にとっても慈母のような存在であることが伝わってきた。
幕切れ近く、取材に来た雑誌記者を見送る場面でのさりげない身振りのリアリティに、六〇年間にわたって培ってきた技量の厚みが窺える。

劇評・谷岡健彦氏(一部抜粋)

岡山市民劇場 2025年 5月例会:母 - 劇団文化座 舞台写真

文化座の三浦綾子原作、杉浦久幸脚本、鵜山仁演出の「母」。
小林多喜二の母セキを主人公にした作品で、佐々木愛の女優60年記念の舞台である。セキについてはこれまでも多くの人が書いているが、三浦作品はクリスチャンの視点からセキと多喜二(藤原章寛)を描いている。

劇は戦後セキが記者のインタビューに答える場面から始まり、回想の形で秋田の貧しい家庭に生まれたセキが、様々な苦労を重ねながら六人の子(長男は天折)を育てていく姿が多喜二の人生と重ね合って綴られる。

題名からも分かるように、この劇は苦難を超えて生き抜いた母のたくましさを描いたドラマである。セキは無学だがおおらかで明るい性質で子どもたちを信じ自分の考えに従って生きていく。こんな母に育てられた多喜二は「小さき者のために生きる」という考えを貫きその果てに虐殺される。多喜二を動かしたのはイデオロギーではなくヒューマニズムであった。作者はセキと多喜二をマリアとキリストに重ね合わせている。佐々木愛がセキの清らかな人物像を気負いなく自然体で表現し強い感銘を与えた。母鈴木光枝の「おりき」に匹敵する佐々木愛の「母」のドラマが生まれたことを教えたい。

劇評・水落潔氏(一部抜粋)

観劇の感想

家族を信じ、助け応援し励まし激怒する その姿に母の偉大さを感じます。

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文化座「母」初演アンケートより
  • 心が震えました。小林多喜二は暗い辛い印象だったが、日常の家庭の和に心が癒された。愛さんの、語り、声、やわらかく、心の底に響いた。
  • 率直な感想としては「楽しかった」です。内容が内容だけに「笑う」楽しさではなく、「ライブ感」が楽しかったです。人が演じて、そこから伝わる「動き」「音」「息遣い」といったそこでしか味わえない感覚が非常に良かったです。家族を信じて、助け応援し励まし激怒する姿に母の偉大さを感じます。また今回非常に気になったのは舞台装飾です。小樽の街並みのシルエットが見事に表現されているなと思いました。

岡山市民劇場 2025年 5月例会:母 - 劇団文化座 舞台写真

  • 息子さんを亡くした後、教会に行かれたことも初めて知り、「マリア様もつらかっただろう」の愛さんのセリフは印象に残りました。
  • 特に印象的なセリフは母の「字を覚えたい。多喜二に手紙を書いてやりたい」でした。母の率直な感情が現れていると思いました。また、若手の役者さんが特に輝いているような作品だと思いました。舞台美術がシンプルであるからなのか、役者さんが引き立つ舞台になっていたと思いました。

岡山市民劇場 2025年 5月例会:母 - 劇団文化座 舞台写真

  • 小林多喜二の「母・小林セキ」を演じた「佐々木愛さん」の存在感は凄いものがあった。愛さんは2時間近い舞台にほぼ出っぱなし。台詞の量は凄まじく膨大な上に秋田弁の優しい口調で演じられていた。「佐々木愛」さんの演技力・精神力・人間愛は舞台生活60年で培われたものであることを確信した。そして、この舞台にかける愛さんの気概・気力・体力は年齢を感じさせないものがあった。

岡山市民劇場 2025年 5月例会:母 - 劇団文化座 舞台写真



劇団文化座

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劇団文化座 ロゴ

劇団文化座は戦時下の1942年2月、井上正夫演劇道場のメンバーであった演出家佐佐木隆、女優鈴木光枝ら9名によって結成。戦時下の厳しい条件のもとにあっても演劇の良心の灯をともし続けてきた。

1987年より佐々木愛が劇団代表。
歴史の闇に埋没しがちな人々、底辺に生きる人々に光を当てた作品を数多く創り出し、またその一方で絶えず新たな題材、舞台表現にも挑戦している。

2008年「てけれっつのぱ」で平成20年度文化庁芸術祭大賞。
2018年「夢たち」「反応工程」「太陽の棘」の舞台成果に対して第53回紀伊國屋演劇賞団体賞。
2023年「炎の人」におけるゴッホ、「旅立つ家族」におけるイ・ジュンソプの演技に対して藤原章寛が第58回紀伊國屋演劇賞個人賞。

これまで例会にお迎えした作品たち

1959年 炎の人
1961年 荷車の歌
1965年
1966年 炎の人
1967年 荷車の歌
1969年 美しい人
1972年
1975年 向い風
1976年 三人の花嫁
1977年 荷車の歌
1978年 三婆
1979年 サンダカン八番娼館
1980年 女と刀
1981年 あめゆきさんの歌
1984年 越後つついし親不知
1989年 三婆
1990年 荷車の歌
1991年 越後つついし親不知
1994年 あかきくちびるあせぬまに
1995年 青春デンデケデケデケ
越後つついし親不知
1997年 サンダカン八番娼館
2001年 ほにほに、おなご医者
2005年 いろはに金平糖
2008年 天国までの百マイル
2011年 てけれっつのぱ