劇団青年座
シェアの法則
スタッフ・キャスト
Cast
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- 山本龍二
- シェアハウス大家春山秀夫
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- 岩倉高子
- 春山家の隣人岩井富子
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- 佐野美幸
- 管理会社の社員長谷部弥生
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- 森脇由紀
- 住民・クラウドワーカー松岡加奈子
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- 若林久弥
- 住民・無職小池一男
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- 宜野座万鈴
- 住民・キャバクラ勤務高柳美穂
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- 黒崎 照
- 住民・ホテル清掃員王晴
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- 須賀田敬右
- 住民・劇団員玉田幸平
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- 逢笠恵祐
- 大家の息子春山隆志
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- 伊東 潤
- シェアハウス清掃員野沢至
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- 澁谷凛音
- 高柳美穂の息子高柳翔
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Author
Director
Staff
美術 | 根来美咲 |
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照明 | 中川隆一 |
音響 | 長野朋美 |
衣装 | 竹原典子 |
舞台監督 | 尾花 真 |
製作 | 川上英四郎 |
宣伝美術 | 西山昭彦 |
あらすじ
妻の喜代子は、定期的に住人たちと食事会を開いたり、それぞれの相談に乗るなど、まるで母親のように慕われる存在だった。その喜代子が怪我をして入院することになってしまう。
それをきっかけにしばらくの間、税理士で夫の秀夫が妻の代わりを務めることになった。すると突然、家賃の大幅値上げを通告して、住人たちと対立してしまう。
さらに息子の隆志が経営する飲食店が経営不振に陥りお金を無心に来るが…
えんげきの友より
今回の物語は現代劇ではありますが、今より少し前の2014年が舞台となっています。
場所は都内にあるシェアハウス。
シェアハウスとは、自分の部屋とは別にリビング、キッチン、バスルームなど、共有(=シェア)するスペースをもった賃貸住宅のことです。一口にシェアハウスと言ってもいろいろな形態があり、昔ながらの下宿のような所から、同じ職業や趣味を持つ人同士が住むコンセプトハウスと呼ばれるようなものまで様々。そんなシェアハウスの生活ぶりを本で調べたり住民に話を聞いたりするうちに、「分かる分かる」というエピソードが沢山出てきました。というのも私は4人兄弟の末っ子で、同居していた祖父母も含め8人家族の一員として育った上、アメリカで過ごした大学時代はずっと寮生活だったため、シェアハウスの生活が容易に想像できたのです。
そんな私の経験から共同生活を営む上で最も大切だと思う事は、お互いの違いを認め合い、尊重すること。それは血の繋がらない者同士であっても家族であっても同じことです。人それぞれ考え方も趣味も信じるものも違う私たちが心底理解しあう事は不可能です。それでも相手の立場に立って思いを寄せる=共感する事はできるはず。
ちょうど自粛期間中に執筆していた私は、日々ニュースから流れる医療従事者や罹患者へのいわれなき差別や誹謗中傷に心を痛めていました。こういう時だからこそ、共感する事が何より大切なのではないか…そんな思いを脚本にしたためました。
我々は決して一人で生きているのではありません。地球という大きな家をシェアしているのです。シェアハウスの「法則」は地球で生活するすべての人々に共通する法則だと改めて感じる今日この頃です。
劇場で皆様と共感できる幸せを噛みしめたいと思います。(劇団パンフレットより)
岩瀬 顕子
劇団日穏 – bion – (びおん) 主宰
栃木県出身。
バージニア州立ウィリアム&メアリー大学国際関係学部卒業。
劇団青年座研究所実習科卒業。
2008年に日穏 – bion – を旗揚げ。
戦争や差別など社会的問題を背景に盛り込みながらも、笑って泣ける温かい作品が特徴。
2017年、短編作品のコンペティション「劇王東京Ⅲ」で優勝後、「神奈川かもめ短編演劇祭」に東京代表として出場し「戯曲賞」と「俳優賞」をダブル受賞。
「警視庁捜査一課9係」(テレビ朝日)、「特捜9」(テレビ朝日)、「お父さんと私のシベリア抑留」(NHK BSプレミアム)等のドラマの脚本も執筆。
俳優としては舞台を中心に活動してきたが、近年はハリウッド映画にも出演して活動の場を広げている。
観劇の感想
初演アンケート感想より
- すごく心に刺さり、涙が溢れて止まりませんでした。共感することが多くあったのでしょう。山本龍二さんの演技に、泣けて泣けてたまりませんでした。出演者の演技が素晴らしく、さすが青年座!
- 「シェア」というキーワードに興味津々でしたが、他人同士が集まり、事件と感情が行き交う展開、とっても面白かったです。時間の経過を忘れて、貴重な空間を体験できました。
- それぞれが悩みを抱えながらも明るく前に踏み出そうとしている。他者をちょうどいい距離感で心配している。観ている私たちにも必ず似ている登場人物がいるんですよね。その人たちが笑顔で終われて良かった。
- あっと言う間の時間でした。今の時代だからこそ、相手のことを思いやる気持ちを忘れてはいけないし、結果残るのは愛だなと。愛を探して生きているのかなと思いながら、温かい気持ちで帰りました。
- 期待以上に素晴らしかったです。震災の被災地や、外国人技能実習実習生の問題、親から子への一方的な期待など、興味関心のあるエピソードが多く、共感するポイントがたくさんあったことも良かったです。とてもいい話をありがとう。皆さんの熱演に引き込まれました。
- 「思いやりがすべてを修復する」その一言に尽きますが、岩瀬晶子さんの作品にハズレなし!これを改めて証明するお芝居でした。
次例会のたねより
青年座の芝居はなぜか心地よく、いつも何かが琴線に触れる魅力がある。その理由とは、
① 外部の気鋭の劇作家(特に1970年代生まれ)が書き下ろした戯曲を積極的に上演していることだ。市井の人々を描いた家族劇・群衆劇が多く、共感できる人物を見つけやすい。
② いかにも「らしい人物」がそろっている。老若男女、あらゆる役柄にぴったり合う俳優が必ず見つかるのが青年座の強みだろう。
③ 何より演出・演技が自然で、品の良さが感じられることだ。料理に例えればごはんとみそ汁のような、食べ飽きがしない、まっとうな芝居を見せてくれるのが青年座の良さだ。
舞台は東京で築40年の一軒家を改装したシェアハウス。住民から慕われていた家主の喜代子が入院し、喜 代 子 の 夫 で 税 理 士 の 秀 夫(山本龍二)が代わりを務めることになった。だが、秀夫は妻の不在中に家賃の大幅値上げを住民たちに通告する。
住民から「ギョロッとした目」と評されるコワモテで偏屈な秀夫を演じた山本はじめ、世話好きな隣家のおばちゃん(岩倉高子)、心を閉ざした無職の中年男(若林久弥)、10歳以上もサバを読んだキャバ嬢(宜野座万鈴)、不法滞在のまま働く中国人(黒崎照)、大会社を辞めた小劇団の役者(須賀田敬右)など、まさに青年座が誇る「らしい人物」のオンパレード。舞台に登場しない喜代子を含めた12人の人物像と、各人が抱える事情と秘密が自然な会話のやり取りから少しずつ浮かび上がる。
テレビや冷蔵庫の共有から生じる些細なもめごとから、外国人労働者の搾取、多重債務、引きこもり、震災のトラウマ、SNSの風評被害、親子の断絶といった深刻な問題までを、わずか2時間の物語の中に違和感なく溶け込ませた岩瀬の構成力が光る。こんがらがった12本の糸をほぐして1本の線にまとめ、観客に明快に提示した須藤の演出の手際も鮮やかだった。
夜中に家に侵入する若い男、喜代子が保管していた離婚届など、いくつかの小さなナゾが物語にちりばめられ、それらの小事件の発覚と解決が「気づき」となり秀夫を始めとする登場人物のほぼ全員に心境の変化と成長が訪れる。切なくも温かいラストに快い余韻があった。
時代設定は2014年。世間の意識がコロナに向きすぎた昨今、他にも解決すべき社会問題が多く残っていること、そして、ほぼ全ての問題は「相手を思いやり、共感する」ことが解決の糸口になっていることも、この作品は気づかせてくれた。それは青年座が演劇活動を通じて日々実践し、提示し続けていることでもある。
森重達裕(青年座通信2021年春号より抜粋)
公演スケジュール
- 岡山市民文化ホール
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例会日 昼 夜 3/6 月 – 7時 3/7 火 1時 – 3/9 木 1時 – 3/10 金 12時30分 – 3/11 土 2時 –
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西大寺市民劇場例会
西大寺公民館大ホール -
例会日 昼 夜 3/12 日 – 6時45分 3/13 月 1時 –
関連リンク
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