劇団昴
アルジャーノンに花束を
脚色・演出:菊池准
- 岡山市民文化ホール
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例会日 昼 夜 5/13 金 – 7時00分 5/14 土 2時 – 5/15 日 2時 – 5/16 月 1時 – 5/17 火 12時30分 –
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西大寺市民劇場例会
西大寺公民館大ホール -
例会日 昼 夜 6/3 金 – 6時45分 6/4 土 1時 –
優しさとは・・・
本当の幸せとは何かを私たちに問いかける
あらすじ
32歳になっても幼児の知能しかないチャーリイ。昼間はパン屋で働き、夜は知的障がい者センターで勉強の毎日。それでもお人好しで心優しい彼は挫けずに陽気に暮らしていた。
そんなある日、夢のような話が舞い込む。
大学の偉い先生が頭を良くしてくれるというのだ。
人体実験の候補を選ぶテストの日、
彼はアルジャーノンという名のネズミに迷路ゲームの競争で負けてしまう。チャーリイはアルジャーノンのようになりたいと懇願し、人類初の実験台に選ばれる。
手術後、彼には毎日の経過報告と勉強が課せられる。彼の進歩は目覚ましかったが、夢にまで見た新しい世界は決して素晴らしいものではなく、そこにはこれまでの彼には見えていなかったものが暴き出され、初めて経験する愛の苦悩も待ち受けていた。
やがてアルジャーノンの行動からチャーリイは自分の将来を知ることになるのだった。
スタッフ・キャスト
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- 町屋圭祐
- チャーリイ・ゴードン
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- あんどうさくら
- アリス・キニアン
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- 中西陽介
- ストラウス博士
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- 石田博英
- ニーマー教授
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- 岩田翼
- バート・セルドン
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- 佐藤しのぶ
- パン屋の主人ドナー
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- 山口研志
- ジンピイ
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- 大矢朋子
- 母親ローズ
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- 染谷麻衣
- 妹ノーマ
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- 三輪学
- 父親マット
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- 江﨑泰介
- フランク・ライリイ
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- 加藤和将
- ジョウ・カープ
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- 新藤真耶
- ウィンズロウ、看護師
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- 望月真理子
- フェイ・リルマン
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Cast
チャーリイ・ゴードン | 町屋圭祐 |
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アリス・キニアン | あんどうさくら |
ストラウス博士 | 中西陽介 |
ニーマー教授 | 石田博英 |
バート・セルドン | 岩田翼 |
パン屋の主人ドナー | 佐藤しのぶ |
ジンピイ | 山口研志 |
母親ローズ | 大矢朋子 |
妹ノーマ | 染谷麻衣 |
父親マット | 三輪学 |
フランク・ライリイ | 江﨑泰介 |
ジョウ・カープ | 加藤和将 |
ウィンズロウ、看護師 | 新藤真耶 |
フェイ・リルマン | 望月真理子 |
Author
Director
Staff
- 美術
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岡田志乃伊藤重弘
- 照明
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増子顕一
- 衣装
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仲村祐妃子
- 音楽
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上田 亨
- 音響
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藤平美保子
えんげきの友より
原作も話題作
「アルジャーノンに花束を」 聞いたことのある題名…と思う方が多いと思います。それもそのはず、海外では4度映画化され、日本でも2度ドラマ化されるなど、長きに渡って愛され、世界中で涙した不朽の名作だからです。
原作はアメリカの作家、ダニエル・キイスの小説。知的障害者チャーリイが臨床実験で急激に知能を高め、周囲との関係性がめまぐるしく変化していく様子を描いたSF小説で、ネビュラ賞(SF界最高の名誉賞)に輝いています。日本でも2016年「君に贈る本大賞」で第1位を獲得した話題作。
日記調で綴られていることからフィクションとは思えない程、真に迫り”人間にとって大事なものは何か”、”幸せとは何か”を考えさせられる内容です。
「チャーリィが伝えたかったメッセージは何か」原作も読んで考えてみてはどうでしょうか?(藤井 崇生)
あの感動を再び
この舞台は、1994年に例会として岡山に来ている。シンプルな舞台装置で、ライトを効果的に使ったスピーディーな場面転換は、緊張感があり、ぐいぐいと引き込まれた覚えがある。
この舞台を観て感動したひとりの会員が、どうしてもアルジャーノンに花束を贈りたくて、舞台の片隅に小さな花束を置いて帰ったことが当時、話題になった。
「しじつでりこうになれる」と大喜びし、人体実験を懇願するチャーリイの純粋さが胸に突き刺さる。
初演からの上演数は500ステージに及ぶという。決して明るい芝居ではないにも拘らず、多くの人から愛され、支持されていることが納得できると同時に嬉しく思う。
人間とは何か、幸福とは何か、様々な愛の形がテーマにもなるこの作品は、観る人の年齢や性格によって受け止め方が色々あると思う。28年ぶりに年齢を重ねた視点から観られることが楽しみだ。(白神順治)
「劇団昴」は1976年小池朝雄らが中心となり結成された。
上演作品は、シェイクスピア劇や海外戯曲を手掛けるほか、日本の創作劇も上演する。
1994年の「アルジャーノンに花束を」で岡山初来演。2013年「親の顔が見たい」で岡山市民劇場賞作品賞を受賞。今回3度目の来演を果たす。
観劇の感想
各地鑑賞会の感想より
- シンプルな舞台装置ではあるけれど、出演者の熱気でムンムンしている。幼児の知能しかないチャーリイと手術後普通に戻った彼の対比、何とうまいことか。一人芝居の如く、内面の移り変わりをこんなにも巧みに表現、目が離せなかった。
- スピーディーに展開する疾走感に驚きました。そして、何より人物の変貌と苦悩を体現した主役の町屋さん、彼に関わる人間の、光と影を演じた脇の役者さんの演技が見事でした。
- 感動しました。奥深い人間の心理を感じました。人間という、本当に不可思議なもの、考えさせられる舞台でした。生で観るからこその感動でした。
- 本当の幸せって何だろう?知能ではかることのできない人間性とは?思いやりとは?そんなことを考えさせられたお芝居でした。
- 『アルジャーノンに花束を』の名前は以前から知っていましたが、それがねずみの名前とは驚きました。題名の意味が最後に分かり、納得するとともに、セリフが悲しく響き涙しました。
- チャーリイが自分の生い立ちを思い出し、一つひとつ乗り越えていく過程が、苦しみが伝わってきました。そして、新たな人生に旅立てたチャーリイに、花束をあげたい気持ちになりました。
次例会のたねより
原作はアメリカの作家ダニエル・キイスの小説「アルジャーノンに花束を」です。日本では、1978年に早川書房から翻訳出版され、以来幅広い年齢層に今も愛読されるロングセラー。TVドラマ等にも取り上げられ、名前だけでもご存じの方も多いのではないでしょうか。
その小説を1990年、菊池准が脚色・演出し、劇団昴が舞台化。初演以来多くの観客の声に応え、新劇では異例の再演を重ねました。初演のチャーリイ役を牛山茂が、2001年からは平田弘明が演じました。2017年、町屋圭祐で再びよみがえり、初演から450に迫るステージ数になりました。
1960年代、小説が執筆された頃、この物語はSF(サイエンス・フィクション)でした。しかし、今はAI(人口知能)が社会を担おうとする時代、医学は急速に進化し、この作品で語られていることはもはや現実のものになろうとしています。
天才になってチャーリイが見たものは何だったのか。この作品が突きつけるテーマはそのまま、今の時代を生きる私たちに向けられます。「今よりもっと良くありたい」と願うチャーリイ。その思いは誰もが願う当たり前のこと。それを手に入れた彼が、手術後の自分の目前にある現実に傷つき、生きる喜びや愛を知った一人の青年として、その運命に翻弄されます。その姿が哀切を持って描かれ、観客はチャーリイと共に人間というものの存在、醜さ、美しさを考えていく舞台となっています。
「構成の巧みさとよどみない筋立てに、緊張感と感動が続く。脳の手術・二つの人格などSF的設定でありながら、父母や妹との葛藤や家族愛、そして異性の存在など現代的なテーマに迫っている」「人の一生とは何か。人はどんな境遇に生まれれば幸せになれるのか」といった観劇後の感想が多く寄せられています。科学や医療が発達した現在でも、チャーリイに起きたことへの答えは出ません。むしろ、ますます複雑な様相を呈しています。その中で、この作品はSF小説を超えた人間ドラマとして、観る人の心に感動と哀しさを残す作品となっています。