劇団東演
ワレリー・ベリャコーヴィッチの
マクベス
翻訳:佐藤史郎
演出:ワレリー・ベリャコーヴィッチ
演出補:オレグ・レウシン
- 岡山市民会館
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例会日 昼 夜 10/28 木 – 6時45分 10/29 金 12時30分 – - 岡山市民文化ホール
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例会日 昼 夜 10/30 土 3時30分 – 10/31 日 2時 – 11/1 月 1時 –
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西大寺市民劇場例会
西大寺公民館大ホール -
例会日 昼 夜 10/22 金 – 6時45分 10/23 土 1時 –
魔女の予言に操られたマクベスの運命は!?
一度は観ておきたい、ベリャコーヴィッチ演出の舞台。シェイクスピア4大悲劇の名作が生まれ変わる!
あらすじ
魔女たちは「マクベスはコーダーの領主となり、やがて国王になる運命にある」と予言する。そして「悪は善、善は悪!」と口にしながら消えていった。
魔女たちの予言通りマクベスは、戦いの功績によりコーダーの領主に。夫人にことの成り行きを話すと「それは予言よ…きっと運命がそう約束したの」とマクベスをあおり、後押しするのだった。そして悲劇は始まる…。
スタッフ・キャスト
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- 能登剛
- マクベス
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- 奥山美代子文学座
- マクベス夫人
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- 豊泉由樹緒
- バンクォー
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- 三代陽輔
- フリーアンス(その息子)
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- 島英臣俳優座
- ダンカン(国王)
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- 大塚航二朗無名塾
- マルコム(国王の息子)
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- 星野真広
- アンガス、門番
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- 阿部航平
- メンティース
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- 原野寛之
- レクノス
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- 蓮池龍三バオバブ
- ケートネス / 殺し屋
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- 奥山浩
- ロス
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- 小泉隆弘
- 兵士
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- 南保大樹
- マグダフ
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- 岸並万里子
- マグダフ夫人
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- 三森伸子
- 娘
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- M・インチンユーゴザパト劇場
- ヘカテ(魔女の最高位) / 殺し屋
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- I・スキツアンユーゴザパト劇場
- 殺し屋
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- 上村遥
- 殺し屋
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- E・オフチンニコフユーゴザパト劇場
- 魔女
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- A・ナザロフユーゴザパト劇場
- 魔女
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- 清川翔三
- 魔女
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- 藤本稜太サードステージ
- 魔女
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Cast
マクベス | 能登剛 |
---|---|
マクベス夫人 | 奥山美代子文学座 |
バンクォー | 豊泉由樹緒 |
フリーアンス(その息子) | 三代陽輔 |
ダンカン(国王) | 島英臣俳優座 |
マルコム(国王の息子) | 大塚航二朗無名塾 |
アンガス、門番 | 星野真広 |
メンティース | 阿部航平 |
レクノス | 原野寛之 |
ケートネス | 蓮池龍三バオバブ |
ロス | 奥山浩 |
兵士 | 小泉隆弘 |
マグダフ | 南保大樹 |
マグダフ夫人 | 岸並万里子 |
娘 | 三森伸子 |
殺し屋 | M・インチンユーゴザパト劇場 |
I・スキツアンユーゴザパト劇場 | |
上村遥 | |
蓮池龍三バオバブ | |
ヘカテ(魔女の最高位) | M・インチンユーゴザパト劇場 |
魔女 | E・オフチンニコフユーゴザパト劇場 |
A・ナザロフユーゴザパト劇場 | |
藤本稜太サードステージ | |
清川翔三 |
Author
Staff
- 翻案演出美術衣装
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ワレリー・ベリャコーヴィッチValery Belyakovich
- 演出補
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オレグ・レウシンOleg LeushinОле́г Леушин
- 翻訳コーディネート通訳
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佐藤 史郎
- 照明
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鵜飼 守
- 音響
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アナトリー・ロプホフAnatoly LopukhovАнатолий Лопухо́в
- 舞台監督
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相川 聡
- 制作
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横川 功
えんげきの友より
シェイクスピアへの
新しい扉を開く!
世界中のどんな演劇作品も、すべてシェイクスピア作品に帰結すると言われるほどの天才劇作家シェイクスピア。
彼は1564年に生まれ、1592年に劇作家として認められます。その後21年間に37作品を書き、詩人としても名声を得ました。
心をつかむストーリーと、名言の散りばめられたせりふが魅力の作品は、喜劇・悲劇・歴史劇・ロマンス劇 などのジャンルに分けられます。
4大悲劇「 ハムレット 」「 オセロ 」「 リア王 」「 マクベス 」は特に有名です。とりわけ「 マクベス 」は全作品の中で3番目にストーリーが短く、人間の心の闇や葛藤を早いテンポで掘り下げ、せりふの完成度は高く評価されています。
シェイクスピア劇は「せりふが多くて難解だ」と思う人にも、心配ご無用!「マクベス」は分かりやすくドラマチックでスピーディーな展開なのです。
400年以上前に書かれた傑作。今もなお、演劇や映像などで上演され続けています。
今回はV・べリャコーヴィッチ(2016年没)の大胆で斬新な演出によって、さらに衝撃的で、躍動感あふれる舞台となっています。彼の最後の作品となりました。この例会が、シェイクスピアへの新しい扉を開いてくれるかもしれません。
– 「マクベス」豆知識 –
1957年
黒澤明監督による「蜘蛛巣城」は「マクベス」を題材にし、日本の戦国時代に置き換え、三船敏郎主演で映画化された。
岡山市民劇場では
1979年 俳優座 (マクベス:加藤剛)
1982年 仲代プロジェクト(マクベス:仲代達也) で例会に迎えている。
観劇の感想
息もつけないほどの面白さ!
神戸演鑑、長崎市民劇場ほかの感想文より
- とにかく舞台上で動く、動く、動く!「動」と「静」でいうと、こんなに「動」の舞台は初めてだったので驚きました。役者は大変だったと思います。最後まで緊張感を維持して、観る者を飽きさせない演出と演技に感動しました。
- 何と言っても幕開きで度肝を抜かれました。場内が一瞬真っ暗になると、大音響とともに赤い照明に浮かび上がった数人の異形の者たち…。上半身裸で、後ろ頭に仮面をつけて動く。なんとも不気味。それが森の魔女たちだと分かる。「すっげー、ベリャコーヴィッチ演出?」。魔女たちを演じるロシア人俳優の筋肉に、その不気味な動きに再び驚き、これから何が始まるのかワクワクした。
- マクベスとマクベス夫人の最悪からの狂気がものすごい勢いで感じられ、心に突き刺さってきました。4枚の回転扉が動きをスピーディーに迫力あるものにしていました。音楽と光、そしてテンポのある役者たちの演技には吸い込まれるような不思議な感覚でした。ものすごく魂を揺さぶられた。
- 勇敢な戦士が、降って湧いたような野心に踊らされて臆病な暴君になっていくのが哀れでした。美しく気働きのできる妻が狂うのは、自らの残忍さに耐えかねたのでしょう。人は自分が思うより繊細で脆弱で善良なのかもしれません。
- べリャコーヴィッチの遺作となってしまったけど、彼の演出のど迫力を満喫!すごいです。シェイクスピア劇の独特のセリフ回しが苦手な私でもよくわかりました。佐藤史郎さんの翻訳が良いのかな。15分の休憩を含めて2時間35分の上演時間もグッド。あまりの面白さに、息もつかず、集中して観ていました。
- 思い切って観る時間を作ったのは大正解!想像力を募らせ、舞台に引き込まれていく自分に気がつきました。こんなに面白くシェイクスピア作品を観られるとは。もう一度観たかった!
次例会のたねより
シェイクスピアの4大悲劇の傑作がスペクタクルな舞台に!
スピーティーで息もつかせぬ展開に圧倒される!!
演出のワレリー・べリャコーヴィッチが2016年に急逝した。モスクワ・ユーゴザパト劇場の現・芸術監督のO・レウシンがべリャコーヴィッチの演出を基に、日本人スタッフと共同で作り上げた今作。
魔女にそそのかされるままに王殺しに手を染め、王位に上り詰めながら破滅する武将マクベスの物語は、シェイクスピアの四大悲劇として馴染み深い。
舞台は2対の金属製回転扉があるだけの簡素なもの。それを魔女たちが開閉することで、人物の出し入れや時間と空間軸が移動。そのことで物語がスピーディーでスペクタクルに展開する。
魔女を演じるのは3人のロシア人男優と彼らの言葉を翻訳する「影」ともいえる2人の日本人男優。上半身裸で仮面を後頭部につけ、後ろ向きで移動する。腕と背中の筋肉の動きだけで表現する。役者の身体性に重きを置いた演出だ。
マクベスを演じた能登剛は権力志向の悪人というよりも、魔女と妻に操られ、心ならずも王位を奪った小心で愚かな男というマクベス本来の性格付けをよく表現していた。
マクベスに妻子を殺されたマクダフ (南保大樹) と、敵を欺くために本心を明かさないダンカン王の遺児・マルコム (木野雄大) 、劇団の次代を担うふたりの腹を探り合うシーンの力感あふれる演技の応酬、破局に向かって突き進むうねるような演出が見事。
「きれいは汚い。汚いはきれい」という魔女の言葉は今回「悪は善。善は悪」と訳された。
「国というよりは、もはや墓場。民衆は馬鹿者でもない限り、笑いをなくしました。どれほど悲惨な事件が起きようと人は眉一つ動かさないのです」。この劇中のセリフはマクベスの暴政を表したセリフだが、今の日本にも通じるのではないか。
自信と余裕をなくし、猜疑心と敵愾心だけが肥大化している今の日本人は、魔女の口車やマクベス夫人の挑発にたやすく乗せられるに違いない。マクベスの悲劇は私たちの危うさを内包しているのだ。
2021年 「ワレリー・ベリャコーヴィッチのマクベス」のマルコム役を演じるのは、無名塾より客演の大塚航二朗。
「想像力」に磨きをかけよう
– シェイクスピアが私たちに問いかける –
私たちには想像力という、磨けば磨くほど光り輝く確かなものがあり、舞台を通して刺激しあう仲間がいます。そして今回の「マクベス」はいろんなことを感じさせてくれる作品です。
モスクワ・ユーゴザパト劇場のべリャコービッチさんは、この舞台を今日観て下さる皆さんに遺してくれました。芝居は何て人の心をつないでくれる力がみなぎっているものなのでしょう。
「善は悪、悪は善」・・・人間は誰もが盛っている野心や猜疑心、傲慢さや慄(おのの)き、自己を正当化することでしか生きられない弱さなどなど、現代そのものではないかと強く思うのです。しかも400年以上前にシェイクスピアは描いているのです。なんたる想像力、洞察力、人間力でしょうか。たかが芝居と侮るなかれ、芝居には一人ひとりの心の奥の奥に眠っているロマンや夢、そこから派生する希望や喜び、生きがいなどを呼び覚ましてくれる出会いや発見が必ずあるはず・・・いや、あるに違いない。そこから世界が見えてはこないだろうか、年齢や経験は関係なく、人間が本来持ち合わせている「想像力」にもう一度磨きをかけようではないか、とシェイクスピアは時空を超えて問いかけているような気がします。そんなことを想いワクワクしながら今日も幕を開けます。どうぞ存分に劇空間に遊んでください。同時代を生きる私たちがひるむことなく、共有できるロマンを手にするために。
ロシアが誇る演出家
VALERY BELYAKOVICH (1950 – 2016)
Вале́рий Беляко́вич
- 1950年
- 8月、モスクワ生まれ。
- 1977年
- ユーゴザパト劇場を創立。
- 1987年
- 英国エジンバラ演劇祭で「ハムレット」を上演し、最優秀賞を受賞。衝撃的な舞台で一躍世界的な評価を得て、欧米や日本で公演。
- 1993年
-
〜劇団東演の舞台を手がける。
岡山市民劇場には「ロミオとジュリエット」(1993年)、「検察官」(2018年)が来演。 - 2002年
- 「ロシア連邦人民芸術家」の称号授与。
- 2011年
- スタニフラスキー劇場の主席演出家を経て、ユーゴザパト劇場に戻る。
- 2016年
-
東京での「マクベス」上演のため、モスクワにて再演出し、初日を開けた後、12月6日心筋梗塞により逝去。
享年66歳。